第7回『ひかりのかけら』プロジェクト金巻兼一原作・『春風町クエスト 〜受験戦争は時の彼方に〜』総評

今回は、皆さん苦労されたようです。ゲームものなので、段取りとディティールのアイデアに気がいってしまうのは十分理解できますし、予想もしていました。ですが、そのせいで、おはなしにとって最も大事なメインテーマを押さえ切れていませんでした。ゲームの面白さは大切ですが、それはメインテーマがきちんと描かれていて、初めて生きるものです。ここでいうメインテーマとは、“どんなおはなしなのか”を一言で言い表すものです。欧米では「ログライン」、日本では「一行プロット」などと言われます。たとえば、「スターウォーズ」ならば、「宇宙戦争を舞台にした親子の物語」。「シン・ゴジラ」ならば、「怪獣に襲われた国家の物語」。それが軸となり、その一言を常に意識して描いていくことで、おはなしに登場するキャラクターやディティールはそのために生み出され、結果として一つのまとまりを持った物語として構築されるわけです。では、今回の原作「春風町クエスト」のメインテーマは何だったのか。ほとんどの応募作品は、「友情」をテーマと捉えていました。「ゲームを通して友情が復活する物語」です。それは残念ながら違います。確かに友情も重要なテーマではあります。でも、あくまでサブテーマです。原作プロットは友情を軸にして描かれてはいません。この作品のメインテーマは、「ゲームを通して成長する主人公の物語」なのです。“中途半端”な主人公が、ゲームと親友によって、自分を見直し、変わっていく。春風町クエストも、親友も、時間魔王も、そのために存在していたのです。親友の引き籠もりという設定は明快で描きやすく、時間魔王というキャラクターはキャッチーでインパクトがあるがゆえ、皆そちらに目がいってしまい、大切なメインテーマを見落としてしまっていました。原作を書いた私が見たかったのは、ラストで主人公がどのような心理状態に至り、決戦の城へと向かっていくのか、ということでした。友情がテーマであるならば、ゲームの途中で終わらせたりはしません。ゲームが主人公の心を描くためのアイテムであるからこそ、主人公が心変わりしたところで、ゲームが途中であるにも関わらず終わらせたのです。物語はそこでエンディングを迎えていたからです。確かに難しい原作だったと思います。ですが、メインテーマを読み取り、理解する技術も、プロには必須なのです。応募された皆さん、そして創作で生きていこうと思っている方は、そのことを改めて考えていただきたいと思います。◇今回大賞を受賞された、晴乙さん、水田満さん、おめでとうございます。今後もサンプラントと私が鋭意バックアップしていきます。水田さんは原作の解釈とネームセンスが出色で、感情ポイントの押さえ方・描き方も見事でした。お若い方なので、今後の成長が楽しみです。一方の晴乙さん。もうずっと応募してくださっていて、選考スタッフは毎回楽しみに読ませていただいているのですが、今回はその成長ぶりに、スタッフ一同、非常に感銘を受けました。実はお年は決して若くなく、水田さんの倍以上だったりします。物作りの世界では、30歳をすぎた新人には冷ややかなのですが、それは人間30年も生きてくると価値観が固まり、新しいことに取り組んだり、それまでの価値観を否定することが難しくなるからです。保守的になる、悪い言い方をすれば意固地になってしまうものなのです。ところが、今回の晴乙さんは、単に技術力が向上しただけでなく、まさにスポンジのごとく若く時代に沿った感性を取り込んで、それをクセのある晴乙ワールドに生かす、という見事な進化形を提示してみせてくれたのです。素晴らしいオープンマインドです。感服しました。さらなる進化を期待するばかりです。ひかりのかけらプロジェクトは続きます。新しい自分を見つけるチャンスです。今より“オトナな”自分に会ってみませんか。いま持っている価値観への一途なこだわり、思い込みの知識を捨てて初めて手に入る宝物は、魅力的ですよ。森羅万象、答えは一つではないのです。たくさんの才能に出会えることを楽しみにしています。

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第8回『ひかりのかけら』プロジェクト『いきなり未来人!?』とは

ひとつの原作から生まれる様々な輝きを発掘、育成!!

『ひかりのかけら』プロジェクトは、ひとつの漫画原作をさまざまな才能を秘めたクリエイターたちが自由な解釈で漫画化するコンテストです。 審査の結果、特に才能の輝きが認められた上位3名には賞金としてそれぞれ10万円を贈呈。受賞作はWEBなどでの発表、配信を行います。受賞後は、あなたの才能をさらに伸ばし、活躍の場を広げるべく全面バックアップしていきます。秘められた才能を開花させたいクリエイターのみなさま、ふるってご応募ください!

「1980年代の日本にタイムスリップした主人公」を描くのが
今回のミッション

第8回『ひかりのかけら』プロジェクトの原作(『いきなり未来人!?』)を書き下ろすのは、同企画のスーパーバイザーである金巻兼一氏。「ある日、街を歩いていた主人公は突然1980年代の日本にタイムスリップしてしまう! 偶然知り合ったSF研究会の大学生たちの力を借りてなんとか元の世界へ戻ろうとするが…」というお話です。今回の物語もキャラの見た目は自由! 好きなようにイメージを膨らませてください! 受賞後は活躍の場を広げるべく全面バックパックしていきます。秘められた才能を開花させたいクリエイターのみなさま、ふるってご応募ください!!

受賞作はWEBなどで発表配信/受賞後もあなたの才能をバックアップ。/金巻兼一氏のプロフィール:脚本家。数多くのアニメ作品に脚本、シリーズ構成として携わってきた、実力派シナリオライター。代表作に『地獄少女』『夏目友人帳』『さよなら絶望先生』などがある。
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『いきなり未来人!?』応募要項

■応募資格

プロ・アマ不問。性別・年齢不問。

■応募方法・お問い合わせ先

2017年9月20日(水)までに、下記アドレスにメールで参加の意思をお伝えください。 担当より一次審査に必要なストーリー概要をお送りいたします。

■作品内容

金巻兼一氏書き下ろしの漫画原作『いきなり未来人!?』の漫画化作品であること。

『いきなり未来人!?』あらすじ

■審査

一次審査:2017年11月20日(月)必着 11月27日(月)発表
最終審査:2018年4月21日(土)必着 5月14日(月)発表

■賞金

10万円×3名

※注意事項
・応募作品の著作権は、金巻兼一氏ならびに応募者に帰属します。なお、入賞作品については、株式会社サンプラントが、作品の書籍化、映像化、公衆送信(インターネットでの配布、販売)等に関する独占的権利を取得できるものとします。
・応募の際にいただいた個人情報は、応募作品の管理ならびに弊社からの連絡のみに使用させていただきます。

※お問い合わせ先
応募用のアドレスにメールにてご連絡ください。

[審査の流れ]

■一次審査〈キャラクター設定画&イメージボード〉

A4〜B4サイズの紙に、キャラクターの設定画と、重要だと思う場面のイメージボードを描いてください。
※応募者にストーリー概要をお渡しします

設定画とイメージボードは、別紙にしてください。それぞれの書式や枚数、カラーかモノクロかは自由ですが、全部で10枚以内にまとめて郵便か宅配便で弊社宛にお送りください。データの場合は、A4〜B4サイズで300dpi以上、ファイル形式は、jpgにしてファイル転送サービスを使って   宛にお送りください(メールへの添付は不可)。

■最終審査〈漫画原稿〉

『いきなり未来人!?』の読み切り漫画を30〜50ページにまとめて制作してください。
※一次審査通過者に、読み切り用の漫画プロットをお渡しします。

B4サイズの市販の原稿用紙か、ケント紙、画用紙に黒インクか墨汁で描いて郵送してください。デジタル原稿の場合は、B4サイズ(下記のデジタル原稿の設定参照)でグレースケール600dpi以上、ファイル形式はpsdかtifに限ります。データはCD-Rなどのメディアに記録して郵便か宅配便でお送りください。その際、必ずプリントアウトしたものを添えてください。

デジタル原稿の場合は以下の設定で原稿用紙を作成してください。

原稿用紙のサイズ幅 :257mm
高さ:364mm
仕上がりサイズ幅 :220mm
高さ:310mm
裁ち落とし幅(塗り足し幅):10mm
基本枠幅 :180mm
高さ:270mm

※断ち切りの絵を描く場合は「裁ち落とし幅(塗り足し幅)」の部分もトーン貼り、描き込みを行って仕上げてください。
※アナログ原稿と同様に縮小して写植や製本の作業を行うので「裁ち落とし幅(塗り足し幅)」は10mmに設定してください。

[原稿送付先]

〒170-0013
東京都豊島区東池袋2-45-2 ステラビル701号室
株式会社サンプラント
第8回ひかりのかけらプロジェクト
『いきなり未来人!?』係

〈原稿送付時の注意〉
・原稿送付後は、必ずメール で送付した旨をご連絡ください。
原稿が届き次第、弊社担当よりご一報差し上げます。
〈一次審査時〉
・お送りいただくアナログ原稿はコピーしたものは不可です。
・アナログ原稿は1ページ目の裏に、作品タイトル、氏名(ペンネーム併記)、ページ数、住所、電話番号、メールアドレス、年齢、職業または学年、投稿歴、当プロジェクトを何で知ったかを明記してください。デジタル原稿の場合は、同じ項目をテキストファイル(TXT形式)にまとめて原稿といっしょにファイル転送サービスでお送りください。
〈最終審査時〉
・アナログ原稿は1ページ目の裏に、作品タイトル、氏名(ペンネーム併記)、ページ数、住所、電話番号、メールアドレス、年齢、職業または学年、投稿歴を明記してください。デジタル原稿の場合は、プリントアウトしたものに同じ項目を記載してください。
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