第6回『ひかりのかけら』プロジェクト金巻兼一原作・『忍情幻夜行』大賞総評

第6回ひかりのかけら★総評★金巻兼一★受賞された皆さん、おめでとうございます。今後は、現場のプロである編集スタッフと私が鋭意バックアップしていきます。漫画だけにはこだわらず、編集プロダクションであるサンプラントの優位性を生かして、挿絵やイラストなども経験していただくこともあるかもしれません。何よりも描き続けることが大切です。なんでも経験して、腕を磨いていきましょう。今回は1次審査をクリアしながらも残念ながら漫画を描きあげることができず、2次審査を受けることができなかった人が思った以上に多くいました。時代劇という世界が難しかったのではないかと推察しています。プロになれば好きなものを描けると思ったら大間違いです。プロ現場では必ず、編集サイドが望む作品世界があるからです。その方向性が不得手で躊躇していると、「じゃ、他の人に頼むから」となってしまいます。しかもプロ現場はスケジュールが厳しく決められるので、オーダーされた作品世界の知識を得るためにゼロから勉強している時間などないのです。そのような多種多様な要求に対して、躊躇なくスムーズに応えられるのが本当のプロであり、それをできる人がその後何年も生き残っていくわけです。では、プロ漫画家はいつそんな多様な知識を身につけたのでしょうか。これは30年近く脚本家を続けてきた私から経験者として教授します。“時間のある時にしか勉強はできません”私はデビュー前から、脚本の技術勉強のかたわら、映画やテレビ、本や漫画などで、ドラマに限らず様々雑多な知識を日々吸収していました。好き嫌いは問わず、「きっといずれ役に立つ」と思って観まくり読みまくったのです。なぜなら、私は“絶対にプロの脚本家になるんだ”という強い意志を持っていたからです。なので、デビュー後、どんなジャンルの作品に関わっても、知識がゼロということはありませんでした。ゼロから学ぶのと、浅くでも知識として持っているのとでは、雲泥の差があります。どんなものかを知っていれば、足りない部分を補う時に、何をどう調べればよいか、すぐにわかるのですから。そして勿論ですが、デビュー後も新しい知識へ目を向け続けるのは言うまでもありません。今回の時代劇という設定は、時代物の基礎を学び、経験するのに絶好の機会だったと思います。映画やテレビの時代劇作品を参考にするもよし、過去の時代劇漫画を読みあさるもよし、です。そして調べたことによって、必要だった事柄だけに限らず、いずれ必ずどこかで使えるお得なオマケ知識も得ることができたはずなのです。現在、漫画家は増えすぎて、余っています。プロであっても売れている人は一握りです。そんな狭く厳しい世界を目指すのですから、並の意志と姿勢ではデビューなど到底できませんし、ラッキーが重なってデビューできたとしても運だけでは食べていくことなどできないでしょう。誰よりも熱意をもって、何事にも貪欲に、そして積極的になることが大切なのです。うわ〜、それって大変〜〜〜! そう思ってしまう人もいるでしょう。では、言い方を変えましょう。これならどうですか。絶対に漫画家になりたい! 面白い漫画を描きたい! そのために頑張ろう!ひかりのかけらプロジェクトは、“本気”をかたちにするための便利ツールです。応募すれば現場のプロが読んで所感を返し、受賞すればサイトに掲載されて万人の目に触れることが出来ます。こんな絶好のチャンスはありません。是非とも利用してください。プロジェクトは今後も続きます。次回もたくさんの新しい個性に出会えることを楽しみしています。