第3回『ひかりのかけら』プロジェクト金巻兼一原作・『ひかりのかけら』総評

【★総評:金巻兼一】今回もたくさんの応募、ありがとうございました。そして受賞者の皆さん、おめでとうございます。約40頁の漫画を決められた期間で仕上げるというのは、本当に大変な作業です。お疲れ様でした。皆さんの労作はしっかりと読ませていただき、画力・技術・原作アレンジ力、そして、思い入れとこだわり、をポイントに審査をしました。その結果、今回は嬉しいことに、いつもよりも全体のレベルが高かったため、急遽、賞を増やすことになりました。大賞3人に加えて設けたのが、『ひかり賞』、『かけら賞』、『ひよこ賞』の3賞です。『ひかり賞』は、画に際立った個性を持っていて魅力は充分。しかしながら、ストーリー運び、セリフ、コマ割りなどには磨き込みが必要、という方々。『かけら賞』は、ストーリー運び、セリフ、コマ割りなどには個性的なセンスの断片を見て取ることができるものの、画の魅力がもうひとつ足りない、しかし技術を磨けば総合力できっとよくなっていくはず、という方々。『ひよこ賞』は、センスには目を引くものがあり、将来を期待して名前だけでも紹介して今後の活力源にしてもらおう、という方々。『ひかりのかけら』プロジェクトで私が提示する課題プロットは、様々な解釈が可能になっています。そして特に今回は、キャラクター設定も世界設定も具体的には定義せず、発想の自由度を高めてみました。そうやって、まったくゼロから好き勝手に考えるのではなく、与えられた作品世界の枠の中で自由に考えてもらったところ、いくつもの応募作品で、“無意識の個性”が表出する結果となりました。今回応募し、約40頁をきっちり描き上げた皆さんは、自分の作品を家族や友達にも読んでもらい、どこがよかったかを訊いてみてください。些細な事も含めて、感じたことを思いつくだけ、具体的な言葉にしてもらってください。そしてそこで出た感想をふまえて、改めて自分でも作品を読み直してみてください。そこにきっと、自分の得意=個性が隠れています。それを見つけて磨いていけば、強力な武器になります。あなたにしか描けない漫画になるのです。今回大賞を受賞した方々の漫画を、是非読んでみてほしいと思います。個性とは何か。その良い具体例です。同じ原作素材で、これだけ異なる作品が生まれ、そしてそれぞれが眩しいくらいの魅力を放っています。プロの漫画家になるには、経験の積み重ねしかありません。とにかく描くこと。最後まで描き上げることです。断片的なスケッチを描き散らしているだけでは、また、頭の中でいろいろ考えているだけでは、プロにはなれません。まずは動く。今回応募してくださった皆さんは、自らアクションを起こしたわけです。受賞できたできなかったにはこだわらず、プロになりたいと思うのであれば、今後も是非動き続けてください。描き続けてください。夢は叶えてもらうものではありません。あなた自身が努力して掴み取るものなのです。